冷酷な軍人は没落令嬢をこよなく愛す

香世が風呂から上がって来たので
いつものように2人で2階に上がる。

香世は落ち着かなくソワソワしながら俺の後ろをついて来る。

香世の部屋に行き布団を一式俺の部屋に運び入れ、布団を敷き終え香世に言う。

「香世は奥の間を使え、俺はこっちで寝るから。」

「あ、ありがとうございます。
…では、おやすみなさい。」
香世はそそくさと奥の間に行き頭を下げて襖をそっと閉める。

布団に入りふと考える。

これは…
なかなかに俺自体が忍耐なのでは無いか?
と、気付く。

酔いのせいか?

…なぜか松下から香世を守らなければと言う気持ちが強く、俺自身がどうと思う事を失念してしまっていた。

襖一枚隔てただけの部屋からは、
今にも香世の寝息が聞こえてきそうだ。

早くなる鼓動をどうにか抑えて煩悩と戦う。

香世を抱くのは結婚した後だと、
自分の中で決めている。
ここで負けたら香世から得た信頼を壊す事にになる。

抱きたいし触れたいし自分の物にしたい。

そんな煩悩と戦いながら夜はふける…。