「腹が立つ、腹が立つ、腹が立つ」



ブツブツ言いながら、病院を出た。



せめてカウンセリングとかそういのをやって、記憶が戻る兆しが見えてから退院ならわかる。



でも今はまだ早いっつーの!



と、誰にともなく心の中で怒り続けた。



そのまま病院を出て、私が辿り着いた先は、病院から道路を挟んだ向かいにあるカフェだった。



病院は彼が勤めている会社の近くにあるから、私も何度か車で迎えに来たりしていて、この道を通ったことがある。



そのときからガラス張りで見通しの良い店内をチェックしていて、かわいいカフェだな、と思っていた。



いつか来たいとは思っていたけれど。



まさかこんな形で来ることになるとは、夢にも思っていなかった。



自動ドアを開けて、店内に入る。



冷房が効いていて、病院を駆け出してきた体に心地よかった。



「いらっしゃいませ」



アルバイトらしい20歳前後の女の子が、愛想よく迎えてくれた。