私は鼻をすすってから、元気に言った。



「リュウくん、プリン好きなんだね」



急に話しかけられたリュウくんは、一瞬フタをはがす手を止めて、私を見た。



そしてすぐに、



「うん、大好き!何個でも食べれるよ」



と笑顔で答えた。



どうやら、お見舞いの品はプリンのままで良さそうだ。



その顔はとても無邪気でかわいくて、彼の子供の頃を連想させる。



30歳の顔をしていても、こんな表情ができるんだ。



8歳のときには大好きだったプリンを、30歳になった彼は好んで食べない。



味覚がオトナになったということだろう。



そんなふうにオトナになるにつれて、私たちは無邪気な顔で笑うことすら、できなくなってしまった。



こんな目に遭わなければ気づかないなんて、皮肉なものだ。