その次の年の2008年10月、私は同い年の彼と一緒に、ふたたびひめゆりの塔を訪れた。



今度はもちろん、自分で選んで買った花束を持って。



祈念館に展示されている、1年前と少しも変わらぬ少女たちの写真を、私はそのときよりも真っ直ぐに、見ることができた。



「気持ちのこもった花束ありがとう、って言ってくれてるような気がしたよ」



ずっと誤解をとけないでいた友達と和解したような、スッキリした気持ちになって、彼に言う。



「気がしたんじゃなくて、言ってくれたんだよ、きっと」



そうだね、たしかに聞こえた。



完全な自己満足だけど、私はそのとき、たしかにそう思った。



それから私たちは、祈念館を出て、もう一度塔の前で手を合わせた。



また来ます、と心で語りかけて、ひめゆりの塔を後にした。