そして火曜日の夜、携帯が鳴った。



知らない番号だった。



液晶画面を見て、事故の日のことがよみがえり、ドキッとした。



「…もしもし」



『あ、もしもし、川原さんでしょうか。木下ですけど』



相手は、彼の同僚だった。



社員名簿の緊急連絡先欄を見て、この番号を知ったと言った。



『入院のこと、驚きました』



「突然でご迷惑をおかけして、本当にごめんなさい」



『いえ、それより、怪我は大丈夫なの』



私は今朝、彼の会社に電話したときには、事故で怪我をして入院している、としか言っていない。



「あ、はい、怪我はたいしたことなくて…」



でも、大変なことになっているんです、とはやはり言えなかった。



『それならよかった。じゃあ、明日同僚4人で、仕事帰りにお見舞いに行ってもいいかな』



えっ!



「あの、でも、お忙しいのに…」



『いいのいいの、ヒマ人ばっかりだよ』



あはは、と、陽気な笑い声が聞こえた。