聞き間違いかと思った、と医師は言う。



しかし、もう一度聞いても、彼は自らを8歳と言った。



「……はっさい……?」



どういうこと…?



頭の中が真っ白になって、どういうこと、どういうこと、と繰り返し、問い続ける。



呆然とする私を横目に、お義母さんは驚くほど冷静だった。



まっすぐに医師を見て、落ち着いた口調で、



「時間が経てば、回復するんでしょうか」



と聞いた。



「今の段階では、まだ何も申し上げられませんが…先ほどおりました医師は、いわゆる記憶喪失とか、記憶障害が専門でして、彼によりますと、一時的なものではないかということでした」



だからといって楽観はできませんが、と付け加える。