「川原さん、大丈夫ですか」



ハッと顔を上げると、看護師さんがすぐ近くに立っていた。



「あの、私は大丈夫なんですけど…」



チラリとベッドに目をやると、看護師さんもそれに気がついて後を続けてくれた。



「ご主人、大丈夫ですよ。頭を打たれたようでしたので、今、検査に行っているんです」



そうか、検査に。



「怪我は、たいしたことないんですか」



「検査次第ですけど、おそらくすぐに退院していただけると思いますよ」



やさしくにこやかに話す看護師さんを見ていたら、途端に安心した。



よかった、本当に。



ホゥッと息をつくと、背後から



「では私はこれで。また明日、詳しいお話を聞きに伺います。」



と、安西さんが言った。



振り返ると、安西さんはもう病室の出入口に向かって歩いている。



「あ、安西さん、ありがとうございました」



「いえ。ご主人、お大事になさってください」