「…でもミオちゃん、今日がラストチャンスだったわけでもないよ」



ポツリとニコさんが言った。



「突然記憶が戻ることだってじゅうぶんあり得るし、たとえそれが遠い未来の話でも、一緒にいたら思い出だってどんどん増えるし」



だから悲観的になっちゃダメだよと、いつものようにニコニコして私を見た。



「はい、私もちょうど同じこと考えてました」



これから、どんどん新しい思い出を増やしていこう。



できれば、ふたりだけではなくて、彼らも一緒の思い出を。



「またみんなで旅行しましょうね」



「おう」



「次は海外もいいかもしれ…」



「なんだありゃ」



「え?」



突然の木下さんの声に、右隣を見上げる。



その視線を追うと、波打ち際のリュウくんたちが目に入った。



なんとなく、様子がおかしい。



なぜか3人とも、向かい合ってじっと立ったまま動かない。



どうしたのだろう。



「なにやってんだ、あいつら」



奇妙な光景に、木下さんとニコさんが笑った。