「私ね」



長い沈黙を破ったのは、私だった。



両側のふたりが、私を見た。



「私、リュウくんの声が好きでした」



穏やかに、ゆっくり、少し低めの声でしゃべるときの声が好き。



私を呼ぶときの、愛情のこもった響きが好き。



「今のリュウくんの声は、やっぱり違うんですよね。一緒だなぁって思ったときもあったけど…なんていうのかな、作りは同じでも、出し方が違うっていうか…わかります?」



「わかるよ」



木下さんが、静かに頷いた。



「だから、せめてもう一度だけでもあの声が聞きたいって思うんです。でもやっぱり、一緒にいられるだけで幸せって思わないといけないですよね」