「おーい、起きて!乗り場に着いたよ」



車がフェリー乗り場に到着して、私はみんなを起こした。



運転席では、ニコさんが「んーっ」と伸びをしている。



「ニコさん、運転お疲れさまでした」



「平気、平気、運転好きだから」



ニコさんは見た目と趣味にギャップがあって、知れば知るほど謎の人だ。



「そうだ、私、フェリーのチケットまとめて買ってきますね」



私は財布だけ持って、車を降りた。



チケット売り場まで歩いていると、海風がサァーッと吹き抜けて髪を揺らす。



海の匂いが鼻をくすぐって、私は立ち止まって深呼吸をした。



都会では絶対に味わえない爽快感だ。



思いっきり吸って、吐いて。



体中のモヤモヤしたものが、息と一緒に吐き出された。



いいことがありそうな予感。



チケットを買って振り返ると、みんなも車から降りて深呼吸をしていた。