「んー…ないです」



考えるまでもなかったけれど、一応考えるフリをしてから答えた。



「やっぱだめかぁー」



木下さんと北岡さんが声をそろえて腕組みをした。



「今だって、学校が夏休みだから毎日家にいられるんだって思ってますもん」



「まじで」



「はい」



こういうことは、ほかにもいくつかある。



突然私が知らない人の話をするので、お義母さんに聞いてみたら、小学校時代の親友の名前だったとか。



私にとっては懐かしいアニメキャラクターが、リュウくんにとっての最新ヒーローとして君臨していたりとか。



私は、最初のうちこそ戸惑ったけれど、最近はうまく話を合わせることを覚えた。



―…ただ。



かといって完全に8歳の頃の記憶しかないのかというと、そうでもないみたいで。



近頃私は、そちらのほうが気になっている。