フェリーで約20分。



そこは、大昔に神が降り立った島であると聞いた。



なるほど、「神の島」だ。



3~4時間歩けば一周できてしまうほど小さな島。



そのあちこちに点在する神を祀る祠のようなものから、その言い伝えの意味と重さが実感できる。



彼は、歩き始めこそよくしゃべり、島にひとつしかないという古い郵便局を写真におさめたりしていたが、伝統的な家や祠を見てまわるうちに、だんだん無口になってきた。



私も神聖な気分になって、つられて無口になる。



しばらく歩くと、森の中に獣道のような細い道を見つけた。



「ミオ、こっちに行ってみようよ」



スッと腕を引っ張られた。



地図を見ると、森の向こうは海のはず。



とくに危険もなさそうだったので、そのままついていくことにした。