「ま、とにかくさ」



場の雰囲気を取り繕うように、木下さんが膝をパンッと叩いて明るく言った。



「今渡した名刺を、いつも持ち歩くこと。わかった?」



「はい」



私は、もう一度手の中の名刺を見た。



ここに彼らの気持ちが詰まっているのだと思うと、安心した。



いざというときに連絡がとれる相手の存在は、これからきっと心の支えになるだろう。



口々に、じゃあ遠慮せずに連絡して、と言いながらソファを立つ。



私もあわてて立ち上がった。



「あの、本当にありがとうございました」



「また週末に来るよ」



みんな、もう来たときの笑顔に戻っていた。