午後8時。



私は木下さんたちの見送りのため、一階ロビーに降りてきた。



面会時間が8時までにもかかわらず、平日だからか、すでにロビーに人影はなかった。



いつもこの時間になると病院内の電気が消されていて、薄暗いのがこわいのだけれど、今は30男が4人もいるので、こわくなかった。



「ミオちゃん、ちょっと時間いいかな」



と木下さんが言ったので、私たちは外来受付のソファに座ることにした。



「ヒロさんの『ヒロ』って、広田の『ヒロ』だったんですね。私、ずっと下の名前だと思ってた」



さっきの自己紹介を聞いて、はじめて知った。



私と向かい合わせに座ったヒロさんは、えー知らなかったの?と驚いていた。



「私、リュウくんが使っている呼び名しか知らないんです、失礼ながら」



「ヒロって呼び始めたの、リュウだよ」



「そうなんですか」



「うん。ちなみに、ニコって最初に言ったのも、あいつだし」



「へぇーそうだったんだ…」



私は初対面のときに「ミオって呼んでください」って言ってしまったけれど、それがなければ、何かあだ名をつけられていたのかも。



リュウくんの、意外な一面をみた。