しばらく車を走らせていると、海が見えてきた。



一気にテンションを上げてくれる、広い海。



「わ!ビーチだね」



「みたいだね。さすがに10月では誰も泳いでないかー」



見渡す限り、ビーチには誰もいなかった。



出航時間まで少しあるので、私たちはチケット売り場でフェリーの往復チケットを買ってから砂浜まで出てみることにした。



周りには建物なんて海の家くらいしかなくて、風がとても心地よく吹きわたっている。



こんなにもきれいな空気に体をさらすことができる幸せ。



日ごろの疲れや悩みを、全部浄化してくれそうな気がした。



海は、まるでソーダ水のようだ。



透き通っていて、美しいエメラルドグリーンに輝いている。



飲んだら甘くてシュワシュワしそう…―



そんなことを考えていたら、彼が、



「すげー!入浴剤入れてるんじゃねえ?」



と、大きな声で言った。