その日は朝、目を覚ました時から桜士の体にブルリと寒気が走っていた。もしやと思い桜士がカーテンを開け、雨戸を開けると、そこに広がっていたのは真っ白な世界である。

「積もったか……」

昨夜の天気予報で雪が降ると聞いてはいたものの、ここまで積もるとは誰も予想できていなかった。

「……」

雪が決して珍しいわけではない。だが、少し雪が積もった地面を歩きたいと思ってしまった。桜士は素早く着替えを済ませ、コートを羽織って外へと出る。

一瞬にして冷たい空気が桜士の体を包み込む。だが、その寒さは雪の積もった地面に桜士の足が触れると同時に感じなくなった。

ギュッと包み込まれるような、普段とは全く違う地面の感触がどこか面白く感じてしまう。桜士はそのまま適当にブラブラと歩き始めた。

三十分ほど歩いていると、桜士はある公園へとたどり着いた。広い公園にはブランコなどの遊具がたくさん置かれ、昼間は多くの子どもで賑わっているのだろう。そんな中、桜士は見知った顔を見つけた。