拝啓 本田凌様

本田先生がこの手紙を読む時、私はもうこの世界にはいません。無茶なお願い事をしてごめんなさい。こんな一通の手紙だけで、皆さんの仕事の苦労が報われることはないとはわかっていますが、どうしても「ごめんなさい」と「ありがとう」を伝えたいと思い、手紙を代筆してもらいました。

私がこんな無茶なお願いを言った時、本田先生たちは一切私に「無理だ、できない」と言いませんでした。「お墓に入りたくないなんて冷たい人だ」とも言いませんでしたし、態度にも出ていませんでした。それが、すごく嬉しかった。

本田先生と関わった時間は、ほんの少しの間でした。でも、私に真剣に何度も向き合ってくれた本田先生を見ていたら、本田先生ともっと一緒に同じ病院で働きたいと思ってしまいました。

もしも輪廻転生が存在するのならば、また人に生まれて、医師として本田先生たちと働きたいです。

私の最期のわがままを聞いてくださったこと、感謝してもし切れません。本当に、ありがとうございました。

敬具 折原藍