初めてのことに、桜士は心の一部に少しわくわくする気持ちを芽生えさせていた。そして、チラリと横を見ればーーー。

「カラオケなんて久しぶり〜!一曲目、誰が歌う?」

パッと花が咲いたような笑顔を見せているのは、桜士の想い人であり救急救命医として働いている四月一日一花(わたぬきいちか)だ。子どものようにはしゃぎ、目を輝かせるその姿は、年相応の女の子である。

「せっかくだし、みんなで一曲目とラストは歌いたいな!」

ケニア出身の看護師であるアルオチ・キバキが言う。その言葉に、一緒の部屋にいるeagleの他のメンバーも大きく頷いた。桜士は今、eagleのメンバーたちとカラオケに来ている。桜士は一花に誘われ、今日ここに来ているのだ。

「まっ、eagleと全く関係ない奴がここにいるがな〜」

ウガンダ出身の小児外科医であるヨハン・ファジルがそう言い、桜士の頭をグリグリと押す。ヨハンの隣にいるオーストラリア出身の看護師であるオリバー・ホープが「こら、やめなさい!」と注意する。