Cherry Blossoms〜いのちのかたち〜

胎盤剥離、その言葉に桜士はやはりそうかと息を吐き、一花は緊張したような表情をしていた。胎盤剥離とは、母子共に命を落とす可能性もある状態である。

そもそも胎盤とは、お腹の中にいる赤ちゃんに酸素や栄養などを届け、赤ちゃんにとって不要な老廃物を母体の血液に戻す役割を持っている。それが何らかの原因で剥がれてしまうと、性器からの出血や激しい腹痛、ショック状態などが起こってしまうのだ。

「今すぐ帝王切開が必要ね！」

一花がそう言った刹那、「待ちなさい！！」と声がかかる。声をかけてきたのは、先ほどまで真っ青な顔をしていた太一の母親だった。

「帝王切開だなんて、そんな楽な産み方私は絶対に認めないわ！あなた、産婦人科医でしょ？なら自然分娩をさせられるんじゃないの？」

「そうだそうだ！紅子も医者も甘え過ぎなんだよ。無痛分娩やら帝王切開やら、そんなの子どもに悪影響だ。陣痛促進剤でも使って自然分娩させろよ」