Cherry Blossoms〜いのちのかたち〜

「ヴェノム！！」

仲間を傷付けられた怒りから、顔を真っ赤にしながらナイフを威嚇するようにクラーレとベラドンナは振り回す。だが、知識のない人間が脅しで振り回すナイフなど、戦闘経験を積んだ彼らには通用しない。

一花はバスの揺れを利用し、よろけたフリをしてクラーレの足を思い切り踏み付ける。痛みで怯んだクラーレの手を掴んでナイフを落とさせた後、彼のお腹に膝蹴りを喰らわせて拘束した。

モニカはベラドンナが振り回すナイフを弄ぶかのように避けていき、自身が持っているバッグを思い切りベラドンナの顔面に叩きつけた後、ナイフを落とさせて首に手刀を落とす。

バスジャック犯は、呆気なく拘束されてしまい、乗客たちはポカンとどこか呆気に取られていた。だが、桜士たちのするべきことはこれで終わりではない。

「うっ……お腹が、痛い……！助けて……！」

床に倒れた妊婦は、苦しそうにお腹に手を当てて言う。そして、妊婦の股からは血が流れていた。桜士たちはすぐに駆け寄る。