廉くんとの撮影は、砂浜で行うらしい。



「愛華ちゃんはここに立っててね」

「はい」



立つ位置を指定されて、廉くんに背を向けて立つ。

後ろで何が行われているのかわからず、ドキドキする。



「はい、行きまーす!3、2、……」



何が起こっているのかわからないまま、撮影はスタートした。

ザザーっと海の波打つ音が耳に聞こえてくる。

その波音と同じく、私の胸がドクンドクンと波打っている。



「愛華」

「……っ」



それは後ろから囁かれた。

耳がくすぐったくて、体がビクンと震えた。

振り向こうとすると、後ろから手を回されて、目隠しをされた。



「廉、くんっ?」

「1回しか言わないから、ちゃんと聞いて」



目隠しをされているからか、耳に気持ちが集まって、その声に余計にドキドキしてしまう。

目隠しをされたまま、くるりと体を回転させられる。

何も見えないけれど、目の前に廉くんがいる。