「おい、愛華」



よ、呼び捨て……!?

廉くんが立ち上がり、私の元へとやって来る。



「絶対俺らの隠れ家、誰にも話すんじゃねぇぞ。あと、面倒くせえから絶対に俺らのこと好きになるなよ」



あまりの迫力に、私はうんうんと首を縦に振ることしかできない。



「ちょっとー、愛華ちゃんが怖がってるでしょ?優しくして、廉くん」

「お前は黙ってろ」

「廉くん、こわーい」



廉くんにビシッと言われて、体を小さくしてしまう莉音くん。

なんだかちょっと可哀想だ。



「愛華ちゃん。廉も言ってるんだけど、僕たちがこうして空き教室に集まっていることは秘密にして欲しいんだ」

「……はい」



颯汰くんの話によると、有名な彼らは毎日のように追っかけに追われているらしい。

放課後すぐに帰宅しようとすると人が集まってしまい、大変なことになるんだとか。

だからこうして追っかけを巻いたあとは空き教室に集まって、ダンスや歌の練習のために迎えに来る車を待っていると言っていた。

人気アイドルも結構大変みたい。