人口四十人ほどしかいない小さな村、猫首村の中心に一軒の大きな家がある。この村の地主である黒死(こくし)家の家だ。

この家の一室には、まるで拷問部屋と思うような部屋がある。二十年ほど前にこの村に嫁いできた和子(かずこ)が息子を産んだ際、彼を躾けるために作った部屋だ。彼女の夫である昂(のぼる)は、部屋を見ても何も言わなかった。

部屋の壁には、布団叩きや電気コードなど様々な道具が掛けられており、部屋の中央には革ベルトでできた拘束具が取り付けられた病院に置かれた診察台のようなベッドが置かれている。

一体この部屋が何のための部屋なのか。この壁に掛けられた道具は何なのか。そこの部屋の恐ろしさをよく知っているのは、この黒死家の一人息子である秀(しゅう)である。

午後五時半、この部屋から泣き叫ぶ声が絶え間なく響く。そして、バッヂィィィンと何かを強い力で叩く音も絶え間なく聞こえてきた。

「うんぎゃああああああああああ!!お、おがあさぁぁぁぁん!!もうやめてぇぇぇぇぇ!!」