=マッキの本気①=




”あの日”の帰り道…


マッキはりゅーじんと”いろんな話”をした


彼女はウキウキしながら、時折ケラケラ笑っていたが、彼はほとんど笑わない…


”素敵な笑顔持ってるのに…。もったいない…”


これがマッキの本音であった


しかし…



***



「ラッセル、今日の予定の件でなにか言ってたか?」


「ううん。何も…」


「そうか…」


「何かあるの?」


「いや‥。オレもウワサ程度でヤツから聞いてる訳じゃない。たぶん、”仲間”には時期が来たら本当のことを話すさ。それまで待とう」


「うん。でも…」


「ウチさ、医者じゃん。色々、入ってくるんだよ、世間話でさ。親はその手のウワサとか大好きで、こっちは聞きたくないのに、ベラベラとさあ…」


”そうか、りゅーじんのお父さん、この街で総合病院経営してるんだった…。たしか、お母さんは3人目の人だとか…”


***


「オレも、家でおふくろとの会話を怖がってんじゃあな…。だから、マッキの家みたいに和やかに家族と会話してる様子聞くと、カルチャーショックかな」


「りゅーじん…」


そうだったのだ…


”あの日”の帰り道では、必ずしも明るく楽しい話ばかりではなかった


最寄りのバス停まで歩く夜道は、街燈もまばらでとても暗かった


だが、彼女には彼の方が暗くて見えないくらいな瞬間もあった


”私とは生きてる世界が違う?ううん…、そんなことない!”


あの日から何度、この自問自答を繰り返したことだろう…