甘くて優しい青春恋物語 ~一途な一目惚れは交わしのあとで淡い恋に~

 ほとんどにこにこしてる空音のこんな真剣そうな表情は、普段あまり見ない。

 何を言われるんだろうか、予想がつかない……。

 空音が言いそうな事をあれこれと考えてみるも、全く分からない。見当もつかない。

 その時、空音が穏やかな笑みを浮かべながらゆっくり口にした。

「もしかしたら乾君は、杏ちゃんが思ってるよりもしっかりしてるかもよ?」

「……いやいや、ないない。」

 何を言い出すかと思えば……そんな事、天と地がひっくり返ったってありえない。

 あんなチャラ男だよ? 生粋のプレイボーイみたいな奴だよ?

 ……それがしっかりって、絶対ない。

 首を左右に振って全否定するも、空音は表情を崩さない。

 一体、空音は何考えてるの?

 空音の考えは否定したくない。だけどそれ以上に、空音が何を考えて思ってそう言ったのかが分からない。

 まるで、乾を庇うような言い方。

 そう思った瞬間、私の脳内にビビッと降ってきた。

 ……まさか。

「空音、乾の奴好きだったりする……?」

 やだ、それは。本当にマジでやめてくれ。