甘くて優しい青春恋物語 ~一途な一目惚れは交わしのあとで淡い恋に~

 なんか乾もまんざらでもなさそうな顔してるし、だらしがなさすぎる。

「空音今の見た!? あんな男こっちから願い下げだって!」

「わぁ……ほんと杏ちゃんってチャラボーイ苦手だよね。私も苦手だけど。」

「苦手じゃない、嫌いなの!」

「どうどう、杏ちゃん……。」

 私は基本的に男子とはつるみたくないし、女子ともあまりつるんでいない。

 空音くらいしか、一緒に居てくれないから……。

 みんなと仲が悪いってわけじゃないけど、何か関わりづらいって言うか。

 昔からこんな面倒な性格を持っているから、空音以外に親しい友人はいない。

 ……それも相まってか、関係にだらしない人は誰であろうとも嫌いになった。

 人間関係くらいちゃんとできないのって、思ってしまうから。

 だらしないと……関わってたら、私も碌な人にならないと思っているから。

「……だけどね、杏ちゃん。」

「ん? どうしたの、空音?」

 ぽつりと私の名前を呼んだ空音に、はてなマークを浮かべながら首を傾げる。

 どうしたんだろう。いつもこんな神妙な顔しないのに。