甘くて優しい青春恋物語 ～一途な一目惚れは交わしのあとで淡い恋に～

　言葉が詰まって、出てこない感じで。

「……俺のこと、嫌ってくれていいから。」

「もう嫌いだから安心して。」

「それはそれで安心できない。」

　……何か乾、変だ。

　よく考えてみれば、私にキスをしてきた時から変になっている気がする。

　心変わりする事が、あったんだろうか。

　……って、そんなわけないよね。きっと一時の気の迷いだ、うん。

　言い聞かせるように、そう思い込む。

「でも、嫌ってくれていいから……無視は、しないで。傷つく。」

　傷つく、って……そういえば最初のほうにも、そんな事言ってた気が……。

　その時は今よりももっとヘラヘラしていて、いかにもチャラ男って感じだった。

　だけど今は、心の底からそう思ってるような……苦しそうな、声色。

　惑わされちゃダメ、きっと演技だ。

　なんて思うけど、あまりの真剣さに私は簡単に圧倒された。

「……嫌ってるから無視してるの。」

「うん、それも分かってるよ。それでも短い返事だけで良いから、会話してほしい。」

　そうじゃないと、苦しくなるから。