甘くて優しい青春恋物語 ~一途な一目惚れは交わしのあとで淡い恋に~

 これから信用してもらえるように、頑張るから。

 ……だから俺のこと、これ以上嫌いにならないで。

 どの口が言ってんだって言われてもいいから、それでいいから。

 懇願するように内心思っていたけど、それを悟られないようにいつものポーカーフェイスで乗り切った。



 ……信用してもらえるように、って頑張ってた。

 それなのに俺は、やっぱり最低だった。

「さいっていっ……!」

 真っ赤な顔をしながら、今にも俺をはたきそうな勢いで出て行った有栖宮さん。

 もうダメだ、有栖沢さんに完全に嫌われた……。

 有栖沢さんと二人きりになれた事実、そして少しは気を許してくれているだろうと思い込んで、自制が利かなかった。

 有栖沢さんに信じてもらえるまではしないって決めてたのに、何やってんだ俺……っ。

 自分の馬鹿さ加減に、とことん嫌気が差す。

 せっかく、信用してもらえる機会だったのにっ……。

 意地悪したのも、きっと自制が利かなかったから。自分をコントロールしないと、いけないのに。