甘くて優しい青春恋物語 ～一途な一目惚れは交わしのあとで淡い恋に～

『さんきゅ……。』

　……有栖沢さん、何でこんな今日は優しいんだろう？

　有栖沢さんは俺みたいなチャラい男子が嫌いだと風の噂で聞いた事がある。

　だから俺のことも嫌いなはずなのに、今はこうして用意をしてくれた。

『有栖沢さん、どうして俺に優しくしてくれるの？　俺、有栖沢さんが嫌ってるような男だよ？』

　さっきも過剰な反応してたじゃん。まるで、ここにいてほしくないのにと言わんばかりに。

　それなのにこんなに良くしてくれるなんて……何を思ってるんだろう。

　熱のせいで頭はぼんやりしていたけど、意識はまだかろうじてある。

　少し体を起こすと、瞬間呆れたように口にする声が聞こえた。

『そりゃ、あんたはプレイボーイとして有名だから嫌い。だけどそれでもあんたも人間なんだから、そんな体調悪そうにしてたら心配はする。弱ってる人を見過ごすほど、私は腐ってないから。』

『っ……そっ、か。』

　あぁダメだ。さっきからおかしい。

　一瞬だけ見せた有栖沢さんの笑みは、キラキラと輝いて可愛くて……もうどうしようもないくらい、愛おしく見えた。