甘くて優しい青春恋物語 ~一途な一目惚れは交わしのあとで淡い恋に~

 そう言われていた、一年の冬。

 球技大会がある日に限り、体調が優れなかった。

 ……っ、昨日から熱っぽいんだよな。

 昨日は微熱だったから気にしなかったけど、結構きつい。

 だから俺は途中で球技大会を抜け、保健室に向かった。

 ……誰もいないのか。

 その事にほっと安堵の息を吐いて、とりあえず寝かせてもらおうと近いベッドに近付く。

『すー……すー……。』

 ん? 誰か、いる……?

 どこからか規則正しい寝息が聞こえ、その声の主を探そうとする。

 ……あ、いた。

 ソファに一つの人影を見つけて、誰だろうと興味本位で覗きこむ。

 それと同時に寝ていたその人物が、少し唸り声を上げて目を開けた。

『頭痛った……って、あんたは乾望遙……っ! 何でこんなとこいんのよ!』

『何でって言われても……ちょっとしんどいから、来ただけだけど。』

 というか、寝起きで俺の名前が出てくるのってそこまで認知されているのか?

 俺はそう言うが、実は目の前の人物のことも一応知っている。