甘くて優しい青春恋物語 ~一途な一目惚れは交わしのあとで淡い恋に~

 後は倉庫にしまうだけで、今日の仕事は終わり。

「よいしょ、っと。」

 少しだけ重たい段ボールを抱え、少し遠い倉庫までの道のりを歩く。

 うっ……案外重たいかもしれない……。

 ただ単に私の力が弱いだけなのか、それとも段ボールが重いだけなのか。

 後者であってほしい、というかあってくれ……!

 とどうでも良い願いを思いながら、腕が痺れだしてきたから段ボールを回してみる。

「こんな重いの、女子が持っちゃダメでしょ。」

「あっ、乾。」

「何でそんな嫌そうな顔すんの。ちょっと傷つくんですけど。」

 別にあんたが傷ついたって私にはどうでもいい。

 そんな感情を混ぜながら、乾に取られた段ボールを取り返そうとする。

「ちょっと返して! これは私がするから、乾は教室に帰って……」

「そういうわけにはいかないよ。有栖沢さんみたいな華奢な子にこんなに重たいの持たせられないしさ。言葉に甘えときな。」

 ……なんか、乾が紳士だ。

 チャラチャラしたイメージしかなかったから、意外と思う他ない。