甘くて優しい青春恋物語 ～一途な一目惚れは交わしのあとで淡い恋に～

　小野さんが言ってるから信憑性はあるけど、いまいち信じられないんだよなぁ……。

　腑に落ちたところもあるけど、完全には信用できないって言うか。

　するとそれが伝わったのか、小野さんが凄い勢いでもう一度同じ事を言った。

「有栖沢さん信じてないでしょ！　本当なんだよ、乾ちゃんと『好きな人がいる。』って言ったんだよ！」

「わ、分かったからっ……！　し、信じるから近付かないでっ……！」

「ま、ゆーてあたしも信じ切れてないとこあるけどね～。ほんと、乾の考える事は分かんないわって感じ。」

　両手で小野さんを押しのけ、何とか静止させる。

　うーん、乾とよく関わる人でもこう言うんだから、結構本当なのかもしれない。

　一人でうんうんと頷いていると、その時突然一人の女子が口角を上げた。

「もしかして乾が好きな人ってさ……有栖沢さんなんじゃない？」

「は、はぁっ……!?」

　な、何言ってるんだこの子はっ……！

「ないない！　というかあってほしくない！　私乾の事大っ嫌いなんだから！」