甘くて優しい青春恋物語 ~一途な一目惚れは交わしのあとで淡い恋に~

「それであたし、乾に聞いてみたんだ。『何で断るの?』って。そしたら乾、何て言ったと思う……?」

「わ、分かんない……。」

 乾に直球に尋ねるなんて……なんて度胸があるんだ。

 流石だ、陽キャ女子は違う……。

 そう思いながらおぼつかない言葉で答えてみる。

 さっぱり分からない。そもそも乾のことは噂くらいしか知らないから、何て言うかなんて予想ができない。

 私は空音みたいに観察眼が良いわけでもないし……。

 小野さんの勢いに押されながらそう言ってみると、彼女は今度は人差し指を立ててはっきりと言った。

「それがね、『好きな人がいるから遊ばないようにしてんの。』だったんだよ!」

「「「マジ!!??」」」

 わっ、びっくりした……。

 小野さんの話を静かに聞いていた女子たちの声が、綺麗に重なる。それはそれは大きな声で。

 急な大声は心臓に悪い……。

 けど、気持ちは痛いくらいに分かる。あんなプレイボーイに好きな人なんて……信じられない。

 というか、好きな人できただけできっぱり断るようになるもんなの……? 乾は生粋のチャラ男みたいなところがあるのに……。