甘くて優しい青春恋物語 ~一途な一目惚れは交わしのあとで淡い恋に~

「実は杏ちゃんがね、乾君が最近プレイボーイらしさがないのを不思議がってて信じないんだ~。だから杏ちゃんの為にも、乾君のこと教えてっ?」

「あぁ、そういう事ねっ! いいよ、有栖沢さん教えてあげる~。」

「やっ……! べ、別に知りたいわけじゃっ……」

「はいは~い。ま、とりあえず聞いてってよ。あたしも乾のこと最近不思議だしさ~。」

 ちょ、そこまで知りたいわけじゃないのにっ……!

 そう訴えたかったけど、虚しく近くの椅子に座らされる。

 そして小野さんは隣の椅子に座り、親指を乾に向けながら教えてくれた。

「噂になってるから有栖沢さんも知ってると思うけど、乾は一年の冬らへんから付き合いが悪くなったんだよね~。何の前触れもなかったから、あたしびっくりしたんだ。あの女遊び狂がきっぱり『やっぱやめるわ』って言ったの。」

 きっぱり……? 乾ってもしかして、意志固い……?

 だけどそれだけじゃ、ただ乾が誘いを断ってる事しか分からない。

 だから何も言わずに聞いていると、小野さんは身を乗り出して私にこう言ってきた。