甘くて優しい青春恋物語 ~一途な一目惚れは交わしのあとで淡い恋に~

 確かに、何で控えるのを頑張ってるんだろうか……?

 何かの為? それとも、何か目的があって?

 ……どちらにしても、何かがあったことは事実だろう。あのチャラ男が女遊びを控えるなんて、よっぽどの事があったに違いないから。

「ほら言ったでしょ、杏ちゃん。乾君は変わっていってるって。」

「わっ……! ……って空音じゃん。びっくりさせないでよ。」

「あはは、ごめんね。」

 申し訳なさそう微笑む空音の瞳は、「私が言った通りだったでしょう?」と言わんばかりに訴えてきている。

 そうです、空音が言った通りでした。

 私がただ信じられなくて、いろんな人に聞いたんです。それ以上でもそれ以下でもありません。

「あれ? みんな乾の話してんの?」

 うわっ、陽キャ女子だっ……!

 その時、乾とよく話をしている陽キャ女子の小野さんがこっちに近付いてきた。

 な、何用っ……!

 瞬時に警戒態勢に入って、空音の後ろに隠れる。

 ……なのに、裏切るように空音が私の背中を押して、小野さんにさっきまで話していた概要を話したのだ。