私が嫌だというのは、個人的な意見。

 私のエゴで先生を振り回すのは申し訳ないし……。

「……有栖沢さんは何で、俺のこと嫌いなの?」

「知ってたんだ。」

「そりゃあね。あんなに態度に出てたら、嫌でもわかっちゃうよ。」

 何だ、分かってたんだ。

 それじゃどうして、私にそう尋ねてくるのか。

 察してたなら、わざわざ聞かなくても良いじゃん。

 それとも……。

「私があんたを嫌ってる理由を知りたいの?」

 思っていた事をそのまま口に出すと、乾はそうだと言うように首を縦に振った。

「うん。だってそんなに嫌われちゃ、理由気になるでしょ。何となくは分かるけどね。」

「なら言わなくても良いよね。」

「いや、それとこれとは違うから。」

 ……何を言ってるんだ、乾は。

 何が違うというんだ。というか、何を違うと言っているんだろうか。

 教室へ戻る為に動かしていた歩を止め、乾のほうを振り返る。

 するとその瞬間に、パチッと視線が合ってしまった。

 ……っ、あーもう!

 乾は少なくとも、少なくとも顔は良い。ルックスも申し分ないし、それ故にチャラく見える。