甘くて優しい青春恋物語 ~一途な一目惚れは交わしのあとで淡い恋に~

 まぁ、それは知ってるけど……それでも、何があるか分からない。

 この純粋な空音を汚されたくないんだからっ……。

「杏ちゃん、私が言いたかったのはね……」

 そこで言葉を一旦切り、乾のほうをチラッと見る。

 その後にさっきと同じような穏やかな笑みを浮かべた。

「乾君、最近は女の子の誘い断ってるらしいって事なんだ。だからもしかしたら、何かが変わってるかもしれないって事を言いたかったんだ。」

「なわけないでしょ。あんな根っからのチャラ男がそんなわけ……」

「でも今日はやめとくわ。あんま気分じゃないし。」

 ……。

 遠くから聞こえた、乾の困ったような声色。

 待て、本当に空音の言う通りなのか? そうだとしたら、多少は人間性が磨けてたりするんじゃないか……と思うけど。

「ほらね。最近はずっとあんな感じらしいよ。遊ばない事はないらしいけど、結構な頻度で断ってるらしいんだ。」

「……そっ、か。」

 正直、信じられない。

 けど、人をよく見ている空音がこう言うんだったら……本当にそうなのかもしれない。