甘くて優しい青春恋物語 ~一途な一目惚れは交わしのあとで淡い恋に~

 まさかとは、もしかしてとは思うけど……本当だったら失神できるよ、私。

 何なら思った時点で死にそうだよ? もう死にかけだよ?

「嫌だそれ。空音をあんな野郎に汚されたくない……っ。」

「あ、杏ちゃんったら……一旦落ち着いて?」

 必死そうな空音にそう言われるけど、これが落ち着いてられるか。

 絶対あんな男に空音をやるわけにはいかないんだっ……!

「落ち着いてられないっ! やめてそれだけは、空音チャラ男嫌いって言ったでしょ!?」

「き、嫌いじゃなくて苦手なだけだけど……と、とりあえず杏ちゃん落ち着いてっ! 私は乾君のことそんな目で見た事ないから! というか、乾君は恋愛対象どころか友達対象にもならないからっ!」

 両肩に手を置かれ、大きな声で止められる。

 それでやっと、はっと我に返る事ができた。

 ……友達対象にもならないって、本当?

「今言った事嘘じゃないよね? 空音、本当の事だよね?」

「うん、さっき言った通りだよ。それに杏ちゃんも知ってるでしょ? 私はオカルト大好きだから、恋愛には興味ないって。」