ひとめぼれ。一目惚れ?

葛籠くんが、私に?


これは、噂のドッキリですか?




「ずっと意識してたから、自然と、色々覚えて。……ごめん」


「いしき……」




葛籠くんが? 誰を?


私の耳がおかしくなったのかもしれない。

だって、葛籠くんの顔は遠目で見かけた時みたいに、クールそのものだもん。


視線は逸らされて、ちょっと緊張してるような様子だけど。




「……西園サンのこと、好きなんだ。返事は、すぐじゃなくていいから……今日だけじゃなくて、これからも、話したりしたい」


「……へあ」




また間抜けな声が出たのも仕方ないと思う。


だって、それからすぐに鍵を開けてもらって、紗奈と一緒に帰って、寝るまで、私の頭はずっと真っ白だったんだから。