「あ、西園ちゃん、さっきはありがとね。ゴミ出し係私だったのに手伝ってくれて」
「いえいえ、今日は量が多かったですから」
部室に着くと先輩に声をかけられて、手を振りながら答えた。
袋いっぱいの雑草の重さを舐めてはいけない。
「はい、これは気が利く後輩へのお礼です。先生に見つからないよう気をつけてね♪」
「わ、チョコレート! いただいちゃっていいんですか……!?」
「いいのいいの、今度お土産もあげるね」
「ええ、そんな、いただいてばかりで申し訳ないです」
コロンと手のひらに乗せられた一口チョコをありがたく貰いつつ、いつも物をくれる先輩に眉を下げる。
入学当初から優しい先輩は、リュックを背負って「あはは」と笑った。
「西園ちゃんは日頃の行いがいいから。それじゃ、お先~」
「はい、さようなら、お疲れ様でした!」
手を振って部室を出る先輩にぺこりと頭を下げて、私も自分のロッカーからリュックを取り出す。
結局今度も何か貰うことになりそう。