どうしてこんなことに……。
目の前には学校1のモテ男さんと名高いあの葛籠くんがいて、外に続く扉はガチャガチャと詰まった音を立てるのみ。
地味で大人しい部類の私に、この状況はハードすぎるのですが!?
「嘘だろ……閉じ込められたの?」
「は、はい……そうみたいです……!」
クールでつれないところが素敵♡と評判の葛籠くんは、げげ、と顔を歪めてショックを受けているご様子。
それはそうでしょう、私だってこんないたたまれない状況で長居はしたくないもの。
「よりによって、“ことみ”と2人きりなんて……」
「……え?」
自分でも扉が開かないことを確認した葛籠くんが、私の名前を口にしたように聞こえたのは、空耳だったのでしょうか。
思わず顔を上げると、葛籠くんはハッとしたように口を押さえて、緊張感を漂わせながら(?)私を見ました。
まさか、学校1のモテ男さんに好意を寄せられていたとは、この時の私は想像もしていなかったのです――。