「桜乃、期末テストもあったしアルバイトもで、きっと頑張りすぎちゃったのねー。
今日は休んでて?お母さんがとびきりの夕飯を作るから!」


「…うん。ごめんね」


「いーのいーの。そんな謝ることのほどじゃないわ~」



うちの両親は、すごくやさしい。

私が失敗をしてもそれを“失敗”とは言わない育て方を小学生の頃からしてくれて。


小学3年生のとき、学校へ行けなくなってしまった時期があった。


勉強についていけないだとか、嫌がらせをされただとか、そうではなく。

単純に私は、友達との接し方が分からなくなってしまって。


そんなとき、お父さんとお母さんは決まってこう言ってくれたのだ。



『そんな日もある。思いどおりにならないのはよくあること。みんなが人生1回目の初心者なんだから、うまくできないことで溢れていて当然でしょう?
そもそも“うまく”ってなあに?誰が決めたの?それを誰がジャッジするの?』



と、必ずそう言っては安心させてくれた。