アンコール マリアージュ

 「じゃあ、ここで」
 「はい、ありがとうございました」

 202号室の前まで真菜を送り届けると、真は自分の部屋へと帰ろうとした。

 だが、真菜は玄関の前で立ちすくんだままだ。

 よく見ると、握り締めた両手が、微かに震えていた。

 「…大丈夫か?」

 そっと声をかけると、真菜が身体をびくっとさせる。

 「あ、あの…。やっぱり怖くて。もし誰かが暗い部屋に潜んでいたらって思うと…」

 そう言うとさらに怖くなったのか、ガタガタと震え出す。

 真は思わず、真菜の身体を抱き締めた。

 「分かった。俺も一緒に入るから、大丈夫だ」

 すると真菜は、心底ホッとしたように頷いた。