アンコール マリアージュ

 「はい、ココア。飲めそうなら少しでも飲んだ方がいい」

 ひとまず真の部屋に帰り、そう言ってカップを渡すと、ソファに座った真菜はゆっくり口を付けた。

 「…美味しい」

 まだ顔は強張っているが、ようやく少し安心したらしい。

 真は真菜の隣に座る。

 どうやって話を切り出そうかと考えあぐねていた。

 (例の件も話した方がいいだろうか。いや、まずは彼女の話から聞いた方がいいか)

 そっと真菜の表情をうかがう。

 顔色もだいぶ良くなっていた。

 「気分はどうだ?少し落ち着いた?」
 「はい。あの、ありがとうございました」

 小さく頭を下げてくる真菜に、真は首を振る。

 「いや、俺は何もしていない」
 「いえ、真さんがいなかったら、私、今頃どうなっていたか…」

 そう言って、自分を抱きしめるように身を縮める。

 落ち着いたと思っていたが、また少し震え始めていた。

 「もう大丈夫だから」

 真が背中をさすりながら声をかけると、真菜は頷いて顔を上げた。

 その目には、今にも溢れ落ちそうに涙を溜めている。

 (話をするのはやめよう)

 そう思いながら、ただただ背中をさする。