アンコール マリアージュ

 それからも、真は毎日帰宅するとポストを急いで確認する。

 (1度ここに来て部屋番号が分かったのなら、次からは郵便で届くはず…)

 そう思って気にしていたが、不審な封筒はそれ以降届かなかった。

 だが、間違えて202のポストに入れられる可能性もある。

 しかも宛名が真菜となっていれば、本人は疑わずに開けてしまうだろう。

 (どうしよう、もしそうなったら…。そうなる前に事情を話した方がいいのか。いや、このまま何も起こらないかもしれないし)

 頭の中で葛藤する。

 心配な事がもう1つあった。

 真は、新たに住む場所を決め、数日後にはここを出て行くのだ。

 (そうなったら、彼女に何かあっても気付いてやれない)

 管理人には、防犯カメラを見せてくれと頼んだ時に、嫌がらせの手紙が届いたから、今後も注意してくれと頼んでおいた。

 (俺がいなくなった後のことは、管理人に任せるしかないか…)

 ぼんやりと考えているうちに、随分長い間ポストの前に立ち尽くしていた。

 (やれやれ、これじゃあ俺が不審者だ)

 苦笑いして、エントランスに入ろうとした時だった。