アンコール マリアージュ

 「では、翼くんが運んでくれたお二人の愛の証、指輪の交換を行います」

 新郎が小さな指輪を取り上げ、新婦の左手にそっとはめる。

 続いて新婦が新郎の指輪をはめると、お互い見つめ合って微笑んだ。

 壁際に立って見守っていた真菜の目から、一気に涙が溢れる。

 (い、いかんいかん。泣いてる場合じゃない)

 手にしていたティッシュで拭ったが、新婦に渡す為のティッシュだった事に気付いて、慌ててまたティッシュを取りに行く。

 そんな事をしている間に、牧師が次のセリフに移った。

 「新郎は新婦のベールを上げて下さい」

 真菜は、しゃがみながらフォローに備える。

 新郎は丁寧に新婦のベールを上げた。

 少し横顔にベールが残るものの、自分が手を出して邪魔になるよりはいいと判断し、真菜はそのまま見守る。

 「それでは、誓いのキスを」

 新郎はそっと新婦の肩に手を置くと、ゆっくり顔を近付けて、優しくキスをした。

 心が震える様な幸せなキス…

 やがて顔を離した新婦は、頬を染めて微笑んでうつむく。

 (素敵!なんて素敵なの!もう私、感動で涙が止まらない、前が見えないわ)

 真菜は大きな拍手を送りながら、ボタボタと涙を溢す。

 牧師が結婚証明書へのサインを促し、二人は羽の付いたペンでサインすると、振り返って胸元に持った証明書を皆に見せた。

 拓真がすかさず近付いて写真を撮る。

 牧師が、高らかに夫婦と認められた事を宣言し、二人は翼と手を繋いで列席者のフラワーシャワーを浴びながら退場した。