アンコール マリアージュ

 「では、お二人向き合って下さい」

 牧師の言葉に、新郎新婦が向かい合う。

 真菜はそっと近付き、新婦からブーケと手袋を受け取りながら声をかけた。

 「指輪の交換、お願い出来ますか?1度外して頂いて、翼くんにリングボーイをお願いするのはどうでしょうか?」
 「え、翼、出来ますかね?」
 「大丈夫ですよ。私がフォローします」

 真菜はにっこり微笑み、真っ白なリングピローを取り出すと、新郎新婦が指から外したマリッジリングを載せた。

 落ちない様に軽くリボンで結ぶと、翼の前に屈む。

 「翼くん、あっちから歩いて来て、これをパパとママに届けてくれる?大事な指輪なの。お願い出来るかな?」

 翼は、うん!と頷いた。

 真菜は翼の手を取り、チャペルの入り口まで戻る。

 「それでは、お二人のお子様、翼くんがリングボーイを務めます。大きな拍手をお送り下さい」

 牧師の合図で、真菜が翼を送り出す。

 「パパとママにこれを渡してね」
 「わかった!」

 翼は、トコトコと歩き出す。

 「翼ー、かっこいいぞー」
 「翼、頑張れー」

 翼は列席者の声援を受けて、にこにこと愛想を振りまきながら歩いて行き、やがて手を伸ばして待っていたパパとママに抱き締められた。

 「ありがとっ、翼」

 新婦は、再び涙ぐむ。

 真菜は急いで祭壇に近付くと、リングピローを受け取り、リボンをほどいてから牧師に渡す。

 「翼くん、ありがとう!じゃあ、ばあばと座って見てようか」

 そう言って翼の手を取り、新婦のお母様の隣に座らせた。