それって告白されたってことでいいんだろうか。
 こんな綺麗な人が僕みたいな奴のことを好きになんてなるものなのか?

 今まで接点なんて全然なかったし、こうして話すのも僕の記憶が正しければ初めてなはず。

 いや、絶対初めてだ。
 織野さんみたいな綺麗な人に話しかけられたら忘れるはずがない。

 そもそも友達がいないし、ほぼ話さないせいで、学校で空気のような存在の僕のことを彼女が知ってるなんて嘘みたいだ。

 そんなことを考えていると、「圭くん?」とまた心配そうに織野さんが僕のことを見ていた。

 告白されたのだと認識した途端、織野さんの顔を見るのが恥ずかしくなり、ろくに顔を見れなくなってしまった。

 顔が熱いし、心臓が馬鹿みたいにバクバクなっている。
 そんな僕を見て織野さんはにこりと笑う。


「じゃあ、今日から私と圭くんは友達ね。よろしく」

「……うん、よろしく」

 緊張してしまって小さな声しか出ない。
 そんな僕の声が届いたようで、織野さんは更に笑顔になる。

 ちらっと見たその顔があまりにも可愛すぎて、僕はまたすぐに視線を逸らしてしまう。

 それから織野さんと一緒に帰路についた。
 あまり話さないうえに、視線すら逸らしている僕に気を悪くせずに、織野さんは楽しそうに話してくれる。

 それが僕と織野さんとの出会いだった。