「圭、其方は妖を知っておるか?」

「はい、知ってますけど」

「実は我は狐の妖で、悠は昔拾った人の子だ。関係性は家族のようなものだ」


 伊鈴さんが妖?

 狐の妖?

 妖って妖怪のことだよな。

 いや、妖なんて創造の生き物なはずだ。

 そんなのいるはずない。


「妖とか、嘘ですよね?」

「疑っておるのか? なら証拠をみせてやろう」


 そう言うと、伊鈴さんの姿が変わる。

 白い毛並みの狐だ。しかも大きくて、見上げないと足しか僕の視界に入ってこない。
 それに何より本来一本のはずの尻尾が九本ある。

 これは妖怪に疎い僕でも知ってる。

 九尾の狐だ。


「これが我の本来の姿だ。どうだ? 中々に綺麗であろう」


 自慢気に伊鈴さんが言っているが頭に入ってこない。
 夢でも見ているのだろうかと頬をつねる。

 ちゃんと痛い。
 と言うことは現実?
 え? 理解が追いつかない。