「ねぇ輝」

美晴が、突然切り出す。

「ごめん」
「別れよう」

え、と一瞬思う。

「傷つきすぎた」泣きながら美晴は言う。

「子供だった、って割り切るには傷つきすぎたの」

そっか。
そっか。

「わかった」

「でも少し、話させてほしい」

最後のわがままだった。

「私は輝が大好きだった、だけど輝はお礼も謝罪も言ってくれなかった」

美晴の言葉に、記憶を巡る。

確かに、言ってなかったかも、そう思うには遅すぎた。